変形性股関節症のリハビリ

変形性股関節症の治療として、骨切り術や人工股関節置換術などの手術療法と手術以外の治療を行う保存療法とがあります。

保存療法の場合は、整形外科では薬物療法、体重のコントロールなどの治療と共に、温熱療法、物理療法、運動療法、杖や装具の使用指導、日常生活動作訓練などのリハビリが行われます。

当院のような鍼灸治療院や整骨院、整体院で施術をおこない痛みの改善などを図る場合も保存療法に分類されます。

手術療法の場合は、入院管理が行われ、手術後に主治医の指示のもとにリハビリが施行されます。退院後も必要に応じて外来通院や自宅でリハビリを継続します。

保存療法で行われるリハビリ

変形性股関節症で手術を行わない場合に、股関節の関節拘縮や下肢の筋力低下に対して、痛みを軽減する目的や股関節の動きを広げる目的でリハビリが行われます。また、日常生活で困っている動作が行えるように動作の指導や練習、必要であれば杖や装具などの使用の指導も行います。

変形股関節症による関節拘縮、筋力低下

変形性股関節症の場合は、股関節の関節軟骨がすり減り、変形を起こして荷重が1点に集中することで痛みや炎症が生じます。同時に、股関節周囲の筋肉は痛みの刺激によって緊張が高まり、筋肉が硬くなることで働きにくくなります。働きにくくなった筋肉は使われる機会が減り、筋力低下や筋委縮を起こします。

股関節の動きは股関節周囲の筋肉が伸び縮みする作用で保たれていますが、筋委縮や筋力低下起こすと、筋肉が十分に伸び縮みできないため、関節の動きは制限され、関節拘縮(かんせつこうしゅく)という状態となります。

関節拘縮が起こると、関節の動きが小さくなるため、さらに股関節周囲の筋肉が働く機会が失われ、筋力低下を助長するという悪循環に陥ります。

変形性股関節症による股関節以外への影響

股関節周囲の筋肉は身体を支えるための筋肉として重要な働きを担っています。その筋肉が筋力低下を起こすと、腰や背中、膝、肩、首など股関節以外の身体の部分に負担がかかり、全身の姿勢や筋肉の緊張のバランスが崩れ、身体の色々な部分に痛みが生じます。

また、股関節の痛みや股関節周囲の筋力低下が進むと、歩行や動作が長時間行いにくくなり、下肢全体や体幹の筋力低下も進みます。やがて、全身の耐久性や体力の低下にもつながります。

変形股関節症の保存療法で行われるリハビリの目的

変形股関節症を患っている多くの方は、痛みのある股関節をかばって歩いていたりや日常生活の動作を行っています。そのため、股関節の痛みだけではなく、他の身体の部位にも痛みを抱え、歩行や動作が行いにくくなり動く機会が減ることで、下肢の筋力低下にとどまらず全身の耐久性や体力の低下を起こしています。

下肢全体の筋力低下や全身の姿勢、筋肉の緊張のバランスが崩れ、二次的に股関節の痛みが助長されている場合も多くみられます。

リハビリでは、すり減って変形した関節軟骨を元の状態に戻すことはできませんが、硬くなっている筋肉を動かして関節の動きを広げること、筋力低下を起こしている筋肉の筋力をつけること、全身の筋肉の緊張や姿勢のバランスを整えることを行い、二次的な要因で助長されている痛みを緩和して歩行や動作が今の状態よりも楽に行えることを目指していきます。

肥満がある場合は、食事療法と共に運動メニューを行い、体重コントロールを図っていきます。

変形性股関節症の保存療法で行われるリハビリ内容

リハビリは、主治医の指示のもと、その方の症状、全身の状態、本人や家族の希望に沿って施行されます。

一般的には、関節拘縮に対して関節の動く範囲を広げるための関節可動域訓練と、筋力低下を起こしている筋肉に対しての筋力増強訓練が行われます。

筋肉の緊張が高まり、硬くなっている状態で動かしても関節に負荷がかかり、痛みや炎

症を増悪させるだけで、筋肉の働きを促すことはできません。

初めに、温熱療法を併用してホットパックで温めたり、徒手でリラックスを促したりして筋肉の緊張を和らげます。その後、筋肉の緊張や関節の動きを確認しながら、痛みのない範囲で関節可動域訓練を行います。そして、関節の動きと筋肉の緊張を整えてから筋力低下を起こしている筋肉の筋力増強訓練を行います。

スクワットや重りをつけて行うような過度の筋力増強訓練は関節に負担をかけるため逆効果であり、自分の足の重さやセラバンドと呼ばれるリハビリ用の低負荷のゴムバンドを利用して筋力増強訓練を行います。人によって運動の内容や負荷をどれくらいかけるかは異なりますので、主治医やリハビリ担当者の指示に従ってください。

その他、股関節に負担をかけにくい動作の指導や練習を行い、痛みの緩和や日常生活動作の幅が広がるようにリハビリが進められます。

変形性股関節症の保存療法で行われるリハビリ内容

リハビリは、主治医の指示のもと、その方の症状、全身の状態、本人や家族の希望に沿って施行されます。

一般的には、関節拘縮に対して関節の動く範囲を広げるための関節可動域訓練と、筋力低下を起こしている筋肉に対しての筋力増強訓練が行われます。

筋肉の緊張が高まり、硬くなっている状態で動かしても関節に負荷がかかり、痛みや炎

症を増悪させるだけで、筋肉の働きを促すことはできません。

初めに、温熱療法を併用してホットパックで温めたり、徒手でリラックスを促したりして筋肉の緊張を和らげます。その後、筋肉の緊張や関節の動きを確認しながら、痛みのない範囲で関節可動域訓練を行います。そして、関節の動きと筋肉の緊張を整えてから筋力低下を起こしている筋肉の筋力増強訓練を行います。

ご自宅でリハビリを行う場合も股関節周りをホットパックで温めたり、お風呂で体を温めてからおこなうと筋肉が柔らかくなった状態ではじめられるのでそのようにおこなってみてください。

スクワットや重りをつけて行うような過度の筋力増強訓練は関節に負担をかけるため逆効果であり、自分の足の重さやセラバンドと呼ばれるリハビリ用の低負荷のゴムバンドを利用して筋力増強訓練を行います。人によって運動の内容や負荷をどれくらいかけるかは異なりますので、主治医や専門の医療機関従事者の指示に従ってください。

その他、股関節に負担をかけにくい動作の指導や練習を行い、痛みの緩和や日常生活動作の幅が広がるようにリハビリが進められます。

手術療法で行われるリハビリ

手術療法には、先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)や臼蓋形成不全(きゅがいけいせいふぜん)が原因の場合の初期の変形性股関節症や、比較的年齢が若い方の場合に選択されることが多い骨切り術と、関節軟骨のすり減りや変形が進んでいる場合やお年を召されている方が対象の時に選択されることの多い人工股関節置換術とがあります。

どちらの手術も入院管理となり、手術前には歩行や動作の確認を行い、元々の関節の動きや筋力、身体の使い方などの評価を行います。手術後は手術によって落ちてしまった筋力を取り戻し、病棟生活、退院してからの自宅生活が行えるように歩行や動作を獲得するためのリハビリが行われます。

安静期間が長くなると手術した股関節の動きが悪くなり、筋力や体力も低下するため、手術後早期から主治医の指示のもとにリハビリが開始されます。

変形性股関節症の骨切り術後のリハビリ

骨切り術は、字の通りに骨盤や大腿骨を切って移動させ、固定する手術の方法です。

手術後は骨同士がくっつくのを待ってから足に荷重をかけていきます。術式や状態にもよりますが、入院期間は2か月程度で、医師の指示が出てから手術後1か月程度で徐々に荷重をかけ、動作や歩行の練習をしていきます。

変形性股関節症の骨切り術後のリハビリ内容

荷重の指示が出るまでは、手術をした足には体重をかけられないため、手術をした方の足を地面に着けずに車いすへの移乗やトイレ動作、着替えなどの病棟生活で必要な動作の練習、股関節に負担をかけない動作方法の指導が行われます。

同時に股関節の可動域訓練や筋力増強訓練を行い、歩行や動作に必要な股関節の動きや筋力をつけ、全身の姿勢や筋肉のバランスを整えていきます。荷重の許可が出るまでは、平行棒や歩行器、両松葉杖を使用して手術した足を地面に着けずに歩く練習を行います。

荷重が許可されると体重の1/3の荷重からはじめ、2/3の荷重、全荷重と医師の指示のもと、段階を踏んで手術した足に荷重をかけて歩く練習を行います。

全荷重が許可されると片松葉杖やT字杖での歩行練習、自宅の生活で必要となるトイレ動作、着替え、起き上がる、座るなどの床上動作、段差昇降、入浴動作、家事動作などの日常生活動作訓練が行われます。

病院によっても入院期間は様々で、杖なしで歩行できるようになるためには手術後3か月程度かかると言われており、退院してからも外来通院や自宅でのリハビリを継続して、歩行の安定や、動作の安定性、耐久性を高めることが必要となります。

変形性股関節症の人工股関節置換術後のリハビリ

人工股関節置換術は、すり減りや変形が起きた股関節を人工関節と入れ替える手術です。

手術後早い段階から手術した足に荷重をかけられ、入院期間も骨切り術に比べると短く、1か月程度となります。

変形股関節症の人工股関節置換術後のリハビリ内容

術式や病院によっても異なりますが、手術後2日目ぐらいから荷重をかけはじめ、病棟生活で必要な車いすへの移乗やトイレ動作などの練習を行います。手術後3~4日目から全荷重しての歩行練習や日常生活動作訓練を始めます。同時に股関節の可動域訓練や股関節周囲筋の筋力増強訓練も進められ、手術後2週間程で床に座る、床から立つなどの床上動作や階段昇降といった股関節へ負担のかかる動作の練習も行えるようになります。手術後3~4週間程で歩けるようになり、自宅退院となる場合が多いです。杖が必要な場合は指導や調整を行います。

手術前の状態やその後の経過によって、継続したリハビリが必要となり、通院や自宅でリハビリを行うこともあります。

人工股関節置換術後で最も注意しなければならないことが脱臼です。

手術後のリハビリでは、脱臼を起こしやすい姿勢や動作の指導も行います

人工股関節置換術後に注意が必要な姿勢や動作

人工股関節は本来の股関節に比べて寛骨臼への入りが浅く、股関節の周囲を覆っている関節包も手術時に取り除かれる場合が多いため、脱臼しやすい構造となっています。

股関節を90度以上深く曲げる、股関節を内側に捻じる姿勢で脱臼が起こるため、注意が必要です。

例えば、床にしゃがむ、椅子に座った状態で下に落ちているものを拾う、靴下や靴を履く際、湯船をまたぐ際に足を深く曲げる、手術した足側に体を捻る、足を組むなどで、入院時に主治医やリハビリ担当者よりしてはいけない姿勢や動作の指導が入ります。

あぐらや正座は可能ですが、床上動作中心の生活から椅子やベッドなどの洋式中心の生活へと変える方が、股関節に負担をかけずに生活することができます。

変形性股関節症の自宅で行えるリハビリ

変形性股関節症は股関節に負担がかかることで関節軟骨が破壊され、炎症を起こして痛みが生じます。痛みが強くなってくると、股関節の動かせる範囲が狭まり、下肢全体が筋力低下を起こして「歩きにくくなってきた」、「足が弱ってきた」と感じるようになります。

ここで、「足の筋力をつけなければならない」、「足を強くしなければならない」と自分で一生懸命スクワットや重りをつけて足上げをすると、傷んだ股関節にさらに鞭を打ち、炎症や痛みが増すこととなります。

手術を行わない保存療法の場合は、傷んだ股関節と上手く付き合いながら生活していかなければなりません。

股関節の炎症が重度で股関節周囲に熱感や発赤、腫れが見られる場合は安静が必要ですが、股関節への負担を少なくするように椅子やベッド、杖、歩行器などの物品を利用して、生活の質を落とさないように歩行や動作を継続していくことが大切です。日常の中での歩行や動作そのものがリハビリとなるからです。

股関節周囲の筋力をつける体操としては、太ももやお尻の筋肉をつける目的で、寝た姿勢で足を横に開く、膝の下に丸めたタオルを敷いて膝の裏でタオルを押すようにすることや座った姿勢で膝を前に伸ばす、セラバンドを両方の太ももに巻き足を横に開くなどがありますが、変形性股関節症の場合、個人の症状や状態が大きく異なるため万人に効くリハビリはありません。上記にあげた足を横に開く動作も症状がかなり進行している場合は逆に行わないほうが良いこともあります。体操のメニューや方法も異なりますので、主治医や専門の医療機関の先生の指導の下に行うようにしてください。

可動域をあげる目的で体操をする場合、股関節はどうしても内旋(内側に捻じれてくる)するので外旋位(外側にやや捻じって)でおこなうことを意識しておこないましょう。

 

変形性股関節症で苦しむ方の中には「頑張り屋さん」の方も多く「痛みを我慢してやればその先は良くなるのでは!」と思い頑張ってリハビリをおこなう方もいらっしゃいますが、「痛み」は体の信号であり「その動きをすると体に負担がかかるためやめてくださいね」ということを教えてくれています。痛みを我慢してリハビリを頑張っても変形性股関節症の場合は返って逆効果になる場合があるのでくれぐれも気をつけてください。

 

まずは筋力アップを目的にするより筋力維持と関節可動域の維持を目的に温熱療法で筋肉を緩め痛くない範囲で関節を曲げ伸ばしするのが良いでしょう。

 

手術療法を行った後の自主練習メニューは、退院時にリハビリ担当者より指導されます。無理のない範囲で継続して自主練習を行っていくことが、生活の質を維持または向上することにつながります。