半月板損傷は、膝の痛みを伴うことが多い障害です。病院にかかると湿布を処方され、安静にするようにと言われることも多いと思いますが、半月板損傷に湿布は効くのでしょうか?半月板損傷と湿布について詳しくみていきましょう。
半月板損傷で湿布を使用するときは?
半月板損傷になって、半月板の断裂やささくれ、一部分の剥離、亀裂、動揺などがみられると、本来は平らで安定している半月板の面にがたつきが生じたり、不安定になって動いたり、大腿骨の間に挟まったりすることがあります。そうすると、関節内の組織に半月板のギザギザになった面や欠けらなどが当たって刺激となり、炎症を起こします。炎症が起こると腫れや痛みを伴い、関節内に水が溜まることもあります。
このように、半月板損傷で膝の腫れや痛みなどの炎症症状が見られるときに消炎鎮痛を目的に湿布を使用します。
湿布の種類と効能
湿布とは、皮膚に貼る薬剤で、消炎鎮痛の効果のあるケトプロフェンが含まれているモーラステープや、患部を冷やす冷湿布、患部を温める温湿布があります。
炎症が起きると、痛みを感じさせるプロスタグランジンという物質が作られます。このプロスタグランジンを作る酵素の働きを抑える作用を持つのがモーラステープに含まれるケトプロフェンです。モーラステープを貼った皮膚から薬剤が吸収され、起こっている炎症を抑えて痛みを緩和します。
冷湿布は炎症が起こって熱を持っている患部を冷やし、ハッカの成分でスーッとする刺激の作用があります。温湿布は組織の循環が悪くなり、だる重い感じなどの慢性的な痛みを伴う場合に、患部を温めて循環を改善します。トウガラシ成分が含まれておりジンジンする温かさを感じます。
半月板損傷時の湿布の効果
半月板損傷で炎症が起こっている時に用いられるのは冷湿布、またはモーラステープなどの経皮鎮痛消炎剤です。あくまでも冷湿布で冷やすという手段は手軽に冷やすことのできる補助的なもの、アイシングの効用と考えても気休め程度として用いるのが良いでしょう。貼った時のひんやりした感触とスーッとするハッカの効果で気持ち的な痛みの緩和を図ることはできるでしょう。
モーラステープなどの経皮鎮痛消炎剤は、炎症を鎮めて痛みを和らげる作用がありますが、炎症を起こしている原因である半月板損傷自体が治癒することはありません。起こっている炎症症状に対しての対処療法として用いられます。モーラステープはかぶれやすく、特に日光に当たると赤く腫れあがりやすいので注意が必要です。
半月板損傷をした際に必ず炎症反応が起こります。人間にとって炎症は痛みを伴うため、「消炎鎮痛」を目的に湿布を処方されたり、飲み薬を処方されたりすることがあります。
しかし、炎症は人間にとって悪ではないのです。炎症は痛めた組織を治すための反応なのです。人間の体は組織を痛めた際に、血液循環を良くして痛めた老廃物を流して栄養ある血液を集めようとします。
そのためにプロスタグランジンという血管拡張物質を出して血管を広げ、血液循環を良くします。しかし、プロスタグランジンが体内に放出されると人間にとって「痛い」と感じます。そのため、プロスタグランジンの放出を抑えて痛みを緩和させようという考えからモーラステープや湿布が用いられます。
上記でも説明したように組織の修復を促すのに血管を拡張させ血液循環を良くする必要があり、そのためにプロスタグランジンが放出されます。なのにも関わらず「痛い」と感じるからと言ってモーラステープや湿布でプロスタグランジンの放出を妨げてしまうと少しは痛みが治まっても血液循環が悪くなり、半月板周りの組織の修復は時間がかかってしまいます。慢性痛へと移行する可能性が高くなります。湿布やモーラステープは組織を治す力はないため、対処療法にしかすぎません。あまりにも痛みが強くそれでも活動しないといけない場合は一過性に使用するのは良いと思いますが、毎日のように常用するのは控えたほうが良いでしょう。
むしろ多少痛めても積極的に温めてプロスタグランジンの放出を促し、血液循環を促した方が根本治療につながります。その際に多少痛みが出るかもしれませんが、それはプロスタグランジンが放出されている痛みであり、痛めた組織が悪くなっているわけではないので心配する必要はありません。むしろ「プロスタグランジンが出て、組織の修復が始まった~!!」というくらいポジティブな気持ちでいましょう!
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