半月板損傷の再生医療とは?

半月板損傷の手術は、切除術と縫合術が行われていますが、切除術で取り除いた半月板は元に戻ることはなく、半月板が失われた部分は軟骨への負荷が大きくなり、変形性膝関節症を発症するリスクが高くなります。縫合術は血行がある辺縁部の損傷の場合にしか修復が期待できず、たとえ縫合して修復できたとしても数年後には再断裂するケースが多いと言われています。再断裂となれば、結局は再手術で半月板を切除するほかなく、どちらにしても手術で半月板の修復を行うのは困難です。そんな中、今、半月板の修復が望める最新の治療の再生医療が注目されています。半月板の再生医療とはどのようなものなのでしょうか?詳しくみていきましょう。

再生医療とは?

人間の持つ自己再生能力を活性化することで、損傷した臓器や組織を回復させる治療です。患者から取り出した幹細胞を培養し、損傷した器官に移植することや、肝細胞から人工的につくった組織を移植します。

半月板の再生治療

半月板縫合術後の再生治療

損傷した半月板を縫合した時に、患者の膝関節の滑膜を採取し、自己血清で2週間培養します。培養によって増殖した滑膜由来の幹細胞を半月板の縫い合わせた部分に注射器で垂らします。縫合手術のみだと修復に4~5年かかりますが、肝細胞の移植によって1~2年で半月板が修復することが期待されています。

逸脱した半月板損傷の再生治療

半月板損傷を手術せずに保存していた場合、膝関節の外側、または内側にずれてしまう(逸脱)ことがあります。半月板が逸脱したままだと、軟骨に負荷がかかりやすくなり、変形性膝関節症のリスクが高くなります。ずれてしまった半月板を元の位置に戻して脛骨に糸で固定する手術(セントラリゼーション手術)を行う時に滑膜を採取します。採取した滑膜を自己血清にて2週間培養し、肝細胞を増殖させます。増殖した幹細胞を半月板の周囲に垂らし、半月板の治癒を期待する再生医療です。

 

今まで膝関節の手術の際には視野を邪魔するという理由で捨てられていた滑膜ですが、滑膜に存在する幹細胞は膝関節の軟骨や半月板に分化する力が高いということがわかりました。再生治療を行うために必要な幹細胞も2週間という短期間の培養で増殖することができます。万能細胞のips細胞から半月板をつくるとなると莫大な時間と費用が掛かりますが、滑膜由来の幹細胞を用いる方法は時間も費用も抑えられます。滑膜を採取するのと、滑膜を移植するのと2回手術が必要になりますが、関節鏡視下手術で行えるので傷跡は小さく、身体への負担も少なくて済みます。そして、何よりも今まで修復が困難とされていた半月板の修復が期待できます。半月板縫合術後と逸脱した半月板損傷への再生治療は東京医科歯科大学医学部付属病院で臨床研究が開始されており、今後一般へ向けての治療開始が待たれるところです。

まだ研究段階といえるが今後の発展に期待

半月板損傷による再生医療は今の段階ではまだ研究段階であり、実際におこなってから10年後20年後の患者さんの経過もでていないので絶対的な効果がどれくらいあるのかは不明です。

ただ、今まで断裂してつかなかった半月板が画像上くっついていることは確認できているので、もしかすると今後の半月板損傷に対する治療で主流の治療になってくる可能性があります。

上記でも説明したように切除をしてしまうと変形性膝関節症になるリスクをあげることになります。スポーツを行っている方で一刻も早く痛みを取り除き競技復帰したいと願う方は縫合術で経過が思わしくない場合、切除術をおこなうことになります。スポーツに数年復帰できてもその後は長い期間膝の痛みとつきあっていかなければならないです。そうゆう意味では再生医療が実際に効果があり、その後の経過も良いようならこの治療法が主流になることを願います。

 

 

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半月板損傷の治療

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