半月板切除術後のリハビリ

半月板損傷はスポーツをしている方にとても多い膝の障害です。切除術は以前より、半月板損傷の一般的な手術療法として行われてきました。従来は、膝を大きく切開し、半月板の損傷部をすべて取り除く手術法でしたが、現在は関節鏡視下によって行われるので小さな傷が数個で済み、できるだけ半月板を温存する方針で切除術が行われています。そのため、入院期間も4日~10日間程度と短く、中には日帰り手術を行っている病院もあります。その後のリハビリも手術後すぐに膝への荷重が可能なため、歩行を獲得できるまでの期間が短く、日常生活、スポーツへの復帰も短期間で済むという利点があります。半月板のリハビリについて説明していきたいと思います。

 

手術後、病院でのリハビリ

手術当日

手術当日

 

・アイシング:

術後は半月板を切除し、皮膚と組織を切開しているので炎症が起こります。炎症を鎮めるためにアイシング(氷と水を入れた氷嚢を患部にあてて冷やします)を行います。

 

・下腿の循環改善:

術後は、循環も悪くなります。循環を良くするために、足の指や足首の運動を行って下腿の筋肉を動かします。

 

手術後1~2日目

 

・膝周囲の筋力訓練:

膝を伸ばした状態で膝の裏に折りたたんだタオルをあて、タオルを押しつぶすように膝の上に力を入れます。(膝関節の曲げ伸ばしの動きを伴わない等尺性収縮訓練)

 

・膝蓋骨の動きの改善:

術後は炎症が起こり、循環が悪くなることで膝周囲に浮腫が起こり、筋肉が癒着しやすくなります。癒着が起こると筋肉が働きにくくなるので、膝蓋骨を左右上下に動かし、癒着を剥がすように膝蓋骨の動きの改善を行います。

 

・膝関節の関節可動域訓練:

長坐位になり、膝伸展位から膝裏に両手を添えて屈曲―伸展を繰り返し、自動介助運動によって徐々に膝関節の関節可動域を広げていきます。

 

・股関節周囲の筋力訓練:

膝伸展位で、仰臥位で下肢の挙上、腹臥位で股関節の伸展を行います。

 

・松葉杖歩行:

膝への荷重を急にかけすぎると炎症が増すため、徐々に荷重をかけながら歩行練習を行います。歩行時の姿勢の修正も行っていきます。

 

手術後3.4日目~

 

手術後1~2日目のメニューに加え、以下のメニューも実施していきます。

 

・大腿四頭筋の筋力訓練、体幹の筋力訓練:

クォーター(1/4)スクワット、体幹筋トレーニングを行います

 

・膝関節の関節可動域訓練:

膝関節屈曲120度の獲得を目指します。

 

・下肢の筋力訓練・協調性訓練:

膝関節120度屈曲が獲得出来たら、自転車エルゴメーターで下肢の筋力訓練・協調性訓練、持久力強化を行います。

 

・歩行練習:

両松葉杖→片松葉杖→独歩の順に、膝の状態、歩行の安定性をみながら進めていきます。階段昇降も松葉杖歩行からスタートしていきます。

 

手術後1週間目(7日目)~

 

・下肢の筋力訓練:

座位での膝周囲の等張性収縮運動(膝関節の曲げ伸ばしを伴った筋力訓練)、徐々に負荷をかけて行います。立位で膝への負荷の少ない筋力訓練を行います。

 

・歩行練習:

独歩を獲得したら、日常生活を想定して(通学、通勤、買い物など)歩行距離を伸ばしていきます。

 

手術後2週間目(14日目)~

 

・下肢の筋力訓練:

ハーフ(1/2)スクワットや負荷をかけた自転車エルゴメーター、プール内でのジョギングなど、膝への軽い負荷で行う全身運動の中で下肢・体幹の筋力強化、全身の協調性運動を促していきます。

 

・膝関節の可動域訓練:

130度屈曲(最終可動域)を目指します

 

手術後4週間目(21日目)以降~

 

・フルスクワット、軽いジョギング、支持なしでのスムーズな階段昇降など、膝関節に全荷重をかけての運動を少しずつ行っていきます。

 

・しゃがみ込み、正座などの床上動作練習

 

手術後6週間目(28日目)以降~

 

・方向転換、片足スクワット、ジャンプ、ステップなどのスポーツ復帰を想定した動作練習

 

手術後2カ月目以降~

 

・接触の危険のないスポーツの開始、各競技のトレーニングメニューの開始

 

手術後3カ月以降~

 

・スポーツ(競技)復帰

病院での半月板手術後のリハビリのまとめ

半月板切除術の場合は、手術後3カ月後のスポーツ復帰を目標に、リハビリテーションを実施していきます。歩行、ジョギング、スポーツの開始時はいきなりたくさん行いすぎないように段階を踏んだメニューを組んで行います。急に膝への負荷が大きくかかると、膝関節が再び炎症を起こして腫れや痛みが出て、回復が遅くなってしまいます。リハビリ室でのトレーニングと、実際の生活環境、競技環境で同じメニューを行うのとでは、環境の違いから膝へかかるストレスの程度は変わってきますので徐々に体を環境に慣らしていくようにしましょう。

半月板手術後のリハビリでさらにお勧めのものは?

半月板損傷で手術を行った場合、ただ傷ついた半月板を切除するだけでは根本的な改善にはなっていません。今までの半月板に負担をかけていた動きを改善する必要があります。

半月板損傷をしてしまう選手の場合、体の使い方が悪く膝周りに極端に負担をかけやすい動きになってしまっていることが多いです。この動きを治さなければ半月板を手術しても再び膝に負担をかけてしまい、再び痛みが再発してしまうことも考えられます。最も重要なのは痛みが再発することなくプレーが続けられることです。そのためには体の連動性のとれた動きを取り戻す必要があります。

ご自分で体の連動性を取り戻すセルフケアとしてお勧めできるのが松村卓先生が提唱している骨ストレッチです。骨ストレッチとは従来のストレッチ法ではなく、体の連動性を取り戻すための動き作りです。本やDVDなどがあるので参考にしてみると良いでしょう。

また、体の連動性を取り戻すことのできる整体法や鍼灸法などもありますのでお近くの整体院や治療院に問い合わせてみておこなえるようでしたら施術をうけてみるのもより復帰を早め、再発予防につながると思います。

 

 

症状について詳しくはこちら

半月板損傷の治療

関連記事