整形外科での変形性股関節症に対する最新治療はどんなことをする?

変形性股関節症の手術法は骨切り術と人工股関節置換術とに分けられますが、手術の手技や人工股関節の素材はより長く効果が保て、患者への負担も少ないものへと年々変化を遂げています。

今回はMIS人工股関節置換術(低侵襲人工股関節置換術)と大腿骨短縮骨切り併用人工股関節置換術、新素材の人工股関節Aquala(アクアラ)について説明していきます。

MIS人工股関節置換術(低侵襲人工股関節置換術)

MISとは手術を行う際に皮膚、筋肉や腱などの組織の切開をできるだけ小さく抑えて手術を行う方法です。

従来の手術では皮膚にできる傷は15~20cm程度の大きなものですが、MISでは7~8cm程度の傷ですみます。手術後の痛みや筋力の低下も少なく、リハビリの進みや回復も早いため、2~3週間の入院期間で退院できます。

また、最近では筋肉を全く切らずに行える技術も確立されており、高度な技術を持っている一部の病院で受けることができます。

「手術は成功したけど痛みは残る」術後、このような症状を訴える方々は人工関節の手術自体は成功したが、人工関節を入れる際に筋肉を切ってしまうため、その後遺症として痛みが残ってしまうこともあります。筋肉を全く切らずに行う技術はとても高度な技術ですが、術後の経過として後遺症などが残らない可能性が高いです。

大腿骨短縮骨切り併用人工股関節置換術

大腿骨短縮骨切り併用人工股関節全置換術は、変形性股関節症で股関節が上方向に大きく脱臼している場合に行われます。

股関節は最大で4cmまでしか動かすことができず、脱臼して元の股関節の位置から大きくずれてしまっている場合には、大腿骨の一部を切り取って長さを矯正し、骨の中に人工股関節を設置する骨切り術と人工股関節置換術の両方を行います。

昔は難しいと敬遠されていた手術ですが、最近では多く行われるようになっています。

人工股関節Aquala(アクアラ)

人工股関節は長年使っていると関節部分が摩耗してゆるみが生じ、耐久性は10~20年とされています。

ゆるみが生じると人工股関節を再び入れ直す手術が必要となります。

人工股関節の摩耗はポリエチレン製のライナーと骨頭が摩擦することによって起きており、摩耗によって削れた粉がたくさん出ると、それを食べるマクロファージも増え、このマクロファージが骨を溶かす原因にもなっています。

関節面の摩擦を減らすために開発されたのがMPCポリマーという細胞膜と同じ分子構造でできたAquala(アクアラ)です。

Aquala(アクアラ)をポリエチレンのライナーに使用すると、骨頭とライナーの間に水の膜ができて、関節の動きが滑らかになり摩擦が減ります。摩擦による粉も抑えられるので、今までの人工股関節よりも長持ちすることが期待されています。

 

変形性股関節症の手術は従来のものよりいかに体に負担を減らすかということを考えて日々技術進歩が進んでいます。手術自体は体にメスを入れるわけですからどうしても体に負担がかかってしまいます。

術後、再びスポーツができるようになるくらい軽快な回復をする方もいる一方、術後痛みが変わらず、ずっと辛い状態でいる方もいらっしゃいます。

 

この違いは執刀医の技術の違いや手術のやり方、患者さんの筋肉量、など様々な要因があり、一概にこれが良いという答えはありません。

皆さんもお解かりのことと思いますが、変形性股関節症はできるだけ手術をしないで回復することを目指すのが良いです。

今現在でもこれが完璧だという手術はなく、必ずリスクが伴ってきます。

椎間板ヘルニアの手術を例にあげると、以前まではヘルニアと診断されれば背中を縦に10センチ以上切った手術が主流でした。

手術の技術が進み、10センチも切らず、背中に小さな穴を開けておこなう内視鏡手術が主流になっています。

現在は、ヘルニアは9割自然治癒(保存療法)で治ると言われています。手術が必要になるのは1割と言われています。

少し前に大きな手術が主流であった疾患でも研究が進むにつれて実は保存療法のほうが良いと判断されることもあります。

変形性股関節症も即手術と決めず、あらゆる保存療法をおこなうことからはじめるのがよいでしょう。

大事なことは股関節に痛みを感じ始めたら、まずはご自分の体重管理、頼りになる専門の医療従事者に相談し、変形性股関節症の改善を図っていきましょう。