半月板損傷時に手術になるケースならないケース

半月板損傷はスポーツ外傷として非常に頻度の高い疾患であり、運動中に膝を捻った際などに損傷を受けるケースが多いです。この半月板損傷の診断は受傷機転や臨床症状、画像所見をもとに行われ、その損傷部位や程度から手術適応か否かを決定します。

半月板損傷の診断

まずは問診により受傷機転を確認します。半月板損傷は膝を軽く曲げて体重がかかった状態で、異常な外力を受けることで発生します。そのため、スポーツ時の急な方向転換やジャンプの着地動作、接触スポーツでタックルを受けた際に痛みを感じたという訴えが多くなります。一方で、中高齢者では加齢に伴い半月板が傷つきやすくなっているため、階段の昇り降りや立ち上がり、無理な動作を行った際など様々な受傷機転が想定されます。

 

臨床症状としては、損傷部の膝関節の隙間に圧痛をみとめます。また、膝の曲げ伸ばしにより痛みを感じるほか、膝がひっかかる感じがしたり、コリコリというようなクリック音が聞こえたりします。損傷のタイプによっては、膝を曲げた状態から伸ばせなくなってしまうロッキングという症状がみられます。また、半月板損傷のほとんどの例で、大腿四頭筋の筋萎縮をみとめます。

 

これらの臨床症状に加えて、医師が他動的に膝を動かした時に半月板損傷特有の疼痛が誘発されるかを確認する整形外科的テストというものを行います。代表的なものとしてはMcMurrayテスト、Apleyテストがあります。McMurrayテストは膝を完全に曲げた状態から下腿を捻りながらゆっくりと伸ばしていきます。この時に膝に痛みが生じるかを診ると同時に、医師は膝関節の隙間に指を当て半月板の動きやクリックの有無を確認します。Apleyテストはうつ伏せで膝を90°曲げ、下腿を膝に圧迫した状態でひねりを加えます。これによって痛みがあるか、クリック音があるかを確かめます。これらの整形外科的テストは炎症が治まっておらず、痛みの強い時期には行えないため、医師による適切な判断のもとで行われます。

 

医師はこれらの受傷機転や臨床症状、整形外科的テストの結果を踏まえて、半月板損傷の診断精度を高め、最終的には画像所見によって診断を行います。

 

単純X線撮影で通常の半月板損傷を検出することは難しいですが、骨自体の損傷や変形を確認するために撮影されることが多いです。一方、関節造影検査は典型的損傷の有無の発見には有効ですが、損傷の詳細な形態までは把握しにくく、撮影方法や読影能力によって診断率に差が出てしまう危険性をはらんでいます。そのため、損傷形態や変性所見の詳細な把握のためにはMRI検査が行われることが一般的です。

 

さらに関節鏡検査を行うことで半月板についての異常はほぼ完全に把握することができますが、手術侵襲を伴うことから関節鏡視下手術による治療を前提とした場合に行われることになります。

半月板の損傷しやすい部位

半月板はそれぞれ内側半月板と外側半月板があり、左右の膝に2つずつ存在します。通常、内側半月板はアルファベットのCの型を外側半月板はOの型をしており、内側半月板の方が少しだけ前後径が大きくなります。

 

スポーツ時などの外傷として半月板を損傷する際には膝を内に入れ込む様に衝撃が加わると外側半月板を、膝が外に引っ張られる様に衝撃が加わると内側半月板を損傷することが多いです。ラグビーのタックルやサッカー、バスケットの接触などによる外力は膝を内に捻るように加わることが圧倒的に多いため、スポーツ外傷では外側半月板損傷例が多い傾向にあります。一方で、加齢変化による半月板損傷はO脚などの原因から内側半月板に負担が集中していることが多いため、内側半月板を中心に損傷を受けます。また、一般に半月板損傷は内側半月板、外側半月板ともに真ん中1/3から後方1/3にかけて損傷を受けやすいとされています。

 

半月板損傷はその損傷形態から、縦断裂、水平断裂、横断裂、これらの合併した弁状断裂などに分類されます。若年者のスポーツ外傷では半月板辺縁部の縦断裂や外側半月板の後方の横断裂が多いとされています。一方で、中高齢者の加齢変化では、中央から後方にかけての横断裂や水平断裂が生じます。

 

 

スポーツ外傷による半月板損傷では、半月板単独の損傷にとどまらず、膝の動きを支える前十字靭帯や内側側副靭帯の損傷を伴うことも多いです。また反対に、前十字靭帯の断裂が先行して起こり、その後遺症として膝に生じた緩みが半月板損傷を招くケースもあります。

 

また、欧米では稀ですが日本人に発生しやすい円板状半月(メニスクス)と呼ばれる半月板の形態異常があります。これは本来であれば膝関節の辺縁部のみを覆う半月板が、中央部まで広がった状態であり、主に外側半月板に起こります。円板状メニスクスには膝関節の関節面を完全に覆ってしまう完全型と、通常の半月板より幅が広く関節面の半分以上を覆う不完全型があります。

半月板損傷の手術適応

半月板はその中節の辺縁1/3は血行支配を受けています。血行支配を受けている部分は血管を介して栄養を得ていますが、その他の部分は血管が走っておらず関節液からの栄養を受けています。半月板損傷の症状や画像診断での損傷の程度が軽度である場合、特に血流のある部分の損傷に対しては保存療法が有効となります。また、中高齢者の加齢による内側半月板の損傷に対しても、安易に手術を行うわけではなく、まずは薬物療法や装具療法などの保存療法から開始されることが一般的です。

 

半月板は一度損傷すると再生することはなく、現在の医学では半月板を元通りに戻すことはできません。しかし、半月板は荷重を分散させて膝関節への負担を軽減させる重要な役割を持つことから、できる限り温存することが大切です。これは手術療法においても同様であり、切除範囲は最小限とした温存を目的とした治療が主となっています。

 

スポーツ外傷による若年者の縦断裂では関節鏡視下での半月板縫合を行うことが多いです。この場合は関節鏡で損傷の程度、縫合できる状態であることを確かめ、半月板縫合術を行います。ただし、前十字靭帯の合併例では、半月板縫合だけでは再断裂の危険性が高いため、靭帯再建も同時に行います。一方で水平断裂や横断裂に多い縫合できないケースでは、損傷部位のみの部分切除を行います。この際にもできるだけ全切除を避ける方向で手術様式が選択されます。

 

円板状メニスクスの損傷の場合には、損傷が辺縁部まで及んでいなければ、関節鏡視下にて中央部を取り除き、本来の辺縁部を温存する部分切除を施行します。一方、辺縁部にも損傷を伴う場合には正常な辺縁部を部分的に温存する亜全摘を行います。

 

手術後の入院期間はだいたい1週間程度と短く、若年者であれば松葉杖をついて数日で退院することもあります。一方で、損傷の程度や術式にもよりますが、スポーツ復帰への完全復帰については約半年後を目標としてリハビリテーションを進めていくことになります。

手術は慎重に、すぐに選択しないようがよい

膝の痛みを訴え、整形外科に行き半月板損傷と診断され、すぐに手術を勧められた場合は慎重に考えたほうがよいでしょう。

上記でも説明したように損傷部位などによって保存療法が望ましい場合もあります。

半月板損傷は手術後の経過が必ず良いともいえないですし、変形性膝関節症になるリスクは必ずあがってしまいます。

手術をせずに温存療法で治せるならそれが一番膝には良いのです。

手術をするかは手術をしない療法で改善が望めないか試していただき、それでも改善が望めない場合、膝専門の整形外科医にご相談するのがよいでしょう。

半月板損傷の手術も医師によって技術差があり、家から近いからと言う理由で手術先の病院を決めることは止めたほうが良いでしょう。

半月板損傷はスポーツで起こることが多いですからスポーツ整形外科を探し、半月板損傷の手術数の多い医師にお願いするのが良いでしょう。