半月板縫合術後のリハビリ

半月板を切除すると、軟骨に負荷が直接かかり、変形性膝関節症となるリスクが高くなることから、できるだけ半月板を温存できる半月板縫合術が選択されることが多くなってきています。ですが、半月板縫合術後は、膝関節に体重をかけられない期間が23週間あるため、独歩できるまでに時間がかかり、リハビリ期間も長く要します。入院期間2週間前後となり、スポーツ復帰までには46カ月程度要します。 

手術後当日

・アイシング、足首や足の指の運動、下腿のマッサージなど: 

手術当日は傷の腫れや熱が生じるので、患部を冷やし炎症を鎮めるようにします。(術後3日間は2~3時間に1回(20分程度)行います。その後も、1日5~6回程度続けます。)手術後は循環も悪くなるので下腿のマッサージや痛みのない範囲で足首や足の指を動かすことを行い、循環の改善を図ります。 

 

・車椅子への移乗・車椅子操作練習: 

半月板縫合術後は、ニーブレースという膝を軽度屈曲位で固定するための装具を2~3週間程度装着します。その間は膝への荷重は行えません。松葉杖歩行が獲得できるまでは、病棟内生活は車椅子で行います。 

手術後1日目~ 

・松葉杖歩行: 

手術した足は床に着けますが、荷重をかけないように両松葉杖歩行を行います。歩行姿勢の修正も行っていきます。 

 

・膝周囲のマッサージ、下肢のストレッチ: 

膝蓋骨周囲の筋肉は手術後、癒着しやすいので、膝蓋骨の動きを直接触って動かします。足首にタオルをひっかけてふくらはぎや、太腿の後ろの筋肉をストレッチして筋肉を働きやすくします。 

 

・下肢・体幹の筋力トレーニング: 

手術後は筋力が落ちやすいので、手術した足は、膝は動かさずに足全体を持ち上げ、太腿の前面、側面、後面(臀部)の筋力訓練を行います。膝伸展位のまま膝下にタオルなどを挟み、大腿四頭筋を働かす練習(クアドセッティング)も行います。 

 

・膝関節の可動域訓練: 

可能な範囲で膝関節の可動域訓練を行っていきます。まずは90度屈曲を目指していきます。 

手術後1週間~

手術後1日目のメニューを続け、膝の状態や痛みの程度をみながら、座位や四つ這い位などで、体幹・下肢の筋力トレーニングを行っていきます。膝に負荷がかかりやすい姿勢となっている原因を評価し、股関節や足関節などの可動域制限に対しての可動域訓練や、体幹の筋力アップ、骨盤の動きなどを促していきます。 

 

・フロントベンチ、サイドブリッジなど体幹筋の強化: 

ベッド上で前腕支持の姿勢をとります。レベルアップでは片足をあげて行います(フロントベンチ)。片方の前腕支持で側方を向いて体を支え、片足をあげます(サイドブリッジ)。 

 

・座位バランス練習: 

座位で側方や前方に手を伸ばし、骨盤の動き、股関節の内外旋、体重移動を促し、バランス練習を行います。 

 

・歩行練習: 

松葉杖歩行の距離を伸ばしていき、全身の筋力・持久力向上も促していきます。退院後の生活を想定して、松葉杖での階段昇降練習、床上動作練習も行います。 

手術後2週間~

手術後の状態により、早ければ、2週間程度で手術した足への荷重が少しずつ開始されます。立位で膝に荷重しての筋力訓練を少しずつ行っていきます。膝関節の屈曲は120度を目指します。手術後2週間前後で退院となる病院が多く、松葉杖歩行での退院となります。 

 

・自転車エルゴメーター: 

自転車のサドルを少し高くし、膝への負荷を軽くして行います。 

 

・クォータースクワット、ハーフスクワット、つま先立ちなど: 

膝への荷重を促せる範囲でその場で行える立位エクササイズを行い、股関節周囲筋、大腿四頭筋の筋力強化を行います。 

 

・歩行練習: 

膝への荷重許可が出たら、徐々に荷重を促していき、片松葉杖、杖なしと段階を踏んで歩行練習を行います。 

手術後1か月~

独歩の獲得を目指します。全荷重許可が出たら、より膝への荷重を伴う立位での筋力トレーニングを行っていきます。ジャンプや方向転換などの準備として、骨盤周囲筋の筋力強化、動作時の姿勢の修正などを中心に行います。膝関節屈曲は120度以上を目指していきます。 

 

・スクワット、足振り、ステップ練習、立位バランス練習など: 

立位で足を前後、左右に踏み出すステップ練習、片足立ちし、もう片方の足を振り子のように振る足振り練習など、片足立ちになった時や動作時にも骨盤を水平に保持できる骨盤周囲の安定性を促していきます。 

 

・歩行練習: 

杖なしでの歩行、階段昇降練習などを行います。 

手術後2カ月~

応用歩行や一段飛ばしでの階段昇降、ジャンプ動作など、よりアクティブで応用的な動作練習を行っていきます。膝関節屈曲は130度(最終域)を目指し、床上動作練習も行います。 

 

・片足スクワット、ツイスティング、サイドステップ、ジャンプなど: 

片足スクワットができるようになれば、階段の一段飛ばし昇降が可能となります。ツイスティングやサイドステップといった、体幹の回旋運動、膝の内外反を伴った動作の練習も行います。ジャンプの着地時のフォームの修正なども行います。 

手術後3カ月~

ジョギングなどを徐々に開始します。片脚立ちでの立ち上がりテスト(両手を組んで片足を前方に伸ばした状態で台から立ち上がり、3秒間立位保持する)がスポーツ復帰の目安となってきます。まずは20センチ台からの片足立ち上がりを目指しましょう。 

手術後4カ月~

各スポーツに必要な基本練習を開始し、競技への復帰を目指します。片足立ち上がりテストでは10センチ台からの立ち上がりを目指します。

半月板縫合術のリハビリ・まとめ

半月板縫合術後は、再断裂が起こる確率も高く、手術をしたからといって「もう安心」というわけではありません。手術後は、再度、半月板損傷を起こさないようにリハビリを通して、膝への負荷がかかりにくい正しい姿勢と動作を学習し、半月板の再断裂を予防する必要があります。リハビリには長い期間を要しますが、早く日常生活や、スポーツ復帰をしたいからといって焦って無理にリハビリを進めてしまうと、膝の炎症につながり、結局は復帰までの期間が延びることになってしまいます。膝の状態に合わせて、その時に必要な動作の獲得、膝への負荷を確実に行っていくようにしましょう。 

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半月板損傷の治療

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