なかなか治らない股関節の痛み、原因は仙腸関節?

40代以降に股関節が痛くなり、整形外科でレントゲンを撮ってもらうと「関節の隙間が狭まっている。軟骨がすり減っているから変形性股関節症だね」と診断されることがあります。しかし、軟骨そのものには痛みを感じる痛覚受容器はないため、軟骨がすり減っても痛みを起こすことはありません。

多くの場合、関節を取り巻く軟部組織(筋肉や関節包、靭帯、滑液包など)由来の痛みです。関節を取り巻く軟部組織が原因の場合、股関節の関節可動域検査をすると可動域制限を起こします。

 

しかし、股関節の可動域制限はまったくないのに「歩くと痛い」「座っていると痛い」と訴える方がいます。

股関節周辺の軟部組織に異常はなくても股関節の痛みを訴える場合があり、その原因が仙腸関節という関節から起きている股関節痛かもしれません。

仙腸関節とは?

仙腸関節とは骨盤の後ろ側にあたる部分で仙骨(せんこつ)という骨と腸骨(ちょうこつ)という骨がつくる関節の事を言います。

手を腰に当ててもらうと腰とお尻のちょうど境目くらいにボコッと飛び出た骨(上後腸骨棘)があると思います。骨の奥に仙腸関節があり、足方向に数センチあります。

ちょうど上半身と下半身のつなぎめ部分のような役割をしています。

この関節近隣はたくさんの神経が支配するため、この関節が障害されると仙腸関節部のみの痛みだけでなく様々な部位に痛みを引き起こします。

仙腸関節由来の痛みの特徴

仙腸関節性の股関節痛である場合、多くの方が仙腸関節部にも痛みを訴えます。

「腰の下の方が痛い」と訴える方もいますが、「お尻の奥が痛い」「股関節の後ろ側の奥が痛い」などと訴える方もいます。

これは仙腸関節部が痛みです。人によって訴え方は違いますが仙腸関節性疼痛の場合、仙腸関節部(腰の下・お尻の奥)に痛みを訴えます。

その他に、

・股関節の前側が痛い

・太ももの外側が痛い

・スネが痛い

・足首が痛い

など下肢のあらゆる部分が痛くなります。

下半身に症状がでるため、整形外科などでは「坐骨神経痛」と診断される場合もありますが、坐骨神経はお尻の後ろから太ももの後面を通るため、股関節の前側や太ももの外側が痛くなることはありません。

上記で上げた部分に痛みやしびれのような症状がある方は仙腸関節由来の疼痛、股関節痛である可能性があります。

仙腸関節由来の股関節痛であるかを調べる検査

股関節の痛みが仙腸関節由来であるかどうかを調べるには整形外科テストを用いて仙腸関節に痛みが出るかを調べることができます。

ただし、股関節の痛みは様々な原因が入り混じっていることが多く、仙腸関節のテストで異常が起きても、仙腸関節のみが股関節の原因でない場合もある事を頭に入れておきましょう。

 

ゲレンテスト

※検査は一人ではできないため二人でおこなってください。

患者は仰向け姿勢をとります。

①ベッドの上で検査をする側の足が下に降ろせるような場所に位置します。

②検査をする足と反対側の股関節を胸に近づけるように曲げ患者は膝を抱えるような姿勢をとります。

③検査をする足をベッドから降ろしていきます。この時に仙腸関節部や股関節に痛みを訴えるかを確認します。

④痛みを訴えた場合、検査をする人は検査側の骨盤を固定して、患者の足を降ろしてみます。その時に痛みが軽減ないし、消失した場合強く仙腸関節障害が疑われます。

 

パトリックテスト

患者は仰向け姿勢をとります。

①検査側の足を反対側の膝上に乗せます。(片足開脚をしている姿勢)

この姿勢で仙腸関節部や鼠径部に痛みがあるかを確認します。

②検査をする人が足を開脚した方の骨盤を固定して同じ姿勢(片足開脚)をおこうと痛みの軽減または消失した場合、仙腸関節障害である可能性が高いです。

深屈曲テスト

患者は仰向け姿勢になります。

①検査をする側の股関節を深く曲げていきます。(患者の胸に近づけるように)

②この時に仙腸関節、股関節に痛みが出るかを確認します。

③検査をする人が検査側の骨盤を固定し、股関節を曲げていくと痛みの軽減や消失があると仙腸関節障害である可能性が高いです。

仙腸関節由来の股関節痛は多い

私が臨床をおこなっている中で、仙腸関節由来の股関節痛の方は多く見受けられます。

整形外科で「変形性股関節症」と診断されながら、仙腸関節を調整すると股関節の痛みが改善するケースもありました。

デスクワークや前かがみ姿勢が多い現代社会は仙腸関節に負担をかける姿勢が多く、仙腸関節由来の股関節痛を訴える人が増えています。

仙腸関節由来の股関節痛である場合、いくら股関節周辺の筋肉や関節包にアプローチしても痛みの改善にはつながりませんが、仙腸関節の異常を正す調整をすることで股関節の痛みが改善します。