整形外科で行われる治療は大きく分けて手術を行う治療と手術を行わない治療とがあり、手術を行わない治療を保存療法といいます。
保存療法は、股関節は温存したままの状態であるため、変形性股関節症の根本的な原因であるすり減った関節軟骨の改善は行えません。変形性股関節症によって起きている痛みや筋力低下、関節拘縮などの二次的な症状に対しての対処療法が行なわれます。
保存療法には薬で痛みを抑えることや、股関節の負担を減らすための生活改善やリハビリなど、いくつかの治療法があります。
変形性股関節症の保存療法
- 薬物療法
消炎鎮痛剤などの飲み薬、塗り薬、座薬、湿布、注射などの薬を使用して痛みや炎症を抑えます。寝られないほどの痛みや四六時中痛むなどの強い痛みがある場合は、薬で痛みをコントロールすることによって楽に動ける時間ができ、生活の質の改善や痛みによるストレスの緩和を図ることができます。
- 生活改善
日々の生活の中で股関節への負担を少なくすることは非常に大切です。肥満傾向の場合はダイエットを行う。畳の生活中心の方は椅子やベッドの生活に変える。重いものを持たないようにしてカートや杖などを利用する。激しい運動や長時間の立ち仕事は行わない。ヒールのある靴や革靴は避け、衝撃を和らげるクッション性の高い靴を選ぶ。など、股関節をいたわることを意識して生活することが必要です。
- 温熱療法
筋肉の短縮、萎縮などから起こる慢性的な痛みがある場合には、ホットパックやマイクロ波などを利用して温めることで循環が良くなり、筋肉がほぐれ、痛みを緩和することができます。
- 運動療法
硬くなっている筋肉をリラクゼーションやストレッチで柔らかくし、関節可動域訓練で関節の動きを十分に確保したうえで、筋力低下のある筋肉に対して筋力増強訓練を行います。筋力をつけることや関節の動きを修正することで股関節にかかる負担を軽減して痛みの緩和や運動性の改善を促します。
手術になるケースとは?
治療はまず、股関節に負担をかけない生活様式に変更することから始めます。
同時に肥満が見られ、股関節に負担をかけている場合は体重のコントロール、筋肉の異常な緊張や筋力低下が認められる場合は運動療法や温熱療法なども行われます。
しかし、「これらの治療を行っても症状が変わらない場合」、「症状が進んで痛みが強く、痛み止めの薬を服用しても眠る時も痛くて寝られない、じっとしていても痛くて動けないなど、著しく日常生活に障害をきたしている場合」、「先天性骨盤臼蓋不全があり、症状はまだ顕著に現れておらず関節の変形も進行していないけれども、これからの生活を考えて手術する場合」があります。
手術を考える際に考慮すること
手術の適応となるタイミングは、レントゲンの画像診断から症状の進行具合や本人の訴えを元に、痛みの強さや日常生活にどのくらい支障をきたしているか、仕事への影響、年齢、他の疾患の有無、体力などの全身状態、家族背景などの色々な側面を考慮して、手術をしたほうが良いと医師が判断した場合に、本人と家族の希望があってはじめて手術の適応となります。
手術を行う際には入院管理となり、その後のリハビリテーションも必要となってくるので、仕事をしている場合は長期の休みをとらなければならず、入院中の身の回りのサポートをしてくれる介助者も必要です。
充分に医師や家族と相談し、入院期間、手術様式、その後の生活、注意点など、納得した上で手術を受けることが望ましいと言えます。
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