離断性骨軟骨炎の治療

好発

離断性骨軟骨炎は、関節へ繰り返しかかるストレスにより、骨同士がぶつかり合うことが起因となります。その他にも、遺伝性やもともとの骨の状態や障害などにも起因します。成長期の骨の発達途中である10代に多く、関節への負担が繰り返しかかるようなスポーツを活発にしている子どもにみられる障害です。男女差は男性の方が多いと言われています。

解剖学的所見

離断性骨軟骨炎は、関節軟骨のすぐ下にある骨が欠けて剥がれる障害です。使い過ぎなどによって、何度も骨に負担がかかることで、関節軟骨及び、軟骨の下の骨の一部に傷がつきます。関節軟骨と軟骨下の骨への負担が続き、症状が進行すると、負担がかかっていた部分の血流が悪くなって骨が壊死し、壊死した部分はやがて、欠けて剥がれてしまいます。

 

軟骨と軟骨下骨の一部が欠けた部分は、その下の骨がむき出しの状態となり、欠けた軟骨及び、軟骨下骨が関節内で浮遊する状態となります。浮遊している軟骨及び軟骨下骨のかけらは、関節ねずみと呼ばれ、関節ねずみが関節の間にはまり込むと、激痛を生じて、関節の曲げ伸ばしが行なえなくなる状態となります。

 

離断性骨軟骨炎は、関節の骨どうしがぶつかり合う動作を繰り返すことで、関節軟骨、及び軟骨の下の骨へストレスがかかり、ストレスがかかった部分が壊死して剥がれてしまう障害です。

 

離断性骨軟骨炎は、肘関節にみられる頻度が高く、続いて、膝関節、足関節、股関節の順にみられます。

1.透亮期

初期は、透亮期と呼ばれ、関節軟骨の下の骨に繰り返し負担がかかって、血流が悪くなり、軟骨及び、軟骨下骨の一部が壊死した状態となります。軟骨面はつながっています。この時期では、X線画像では、軟骨の壊死部分が白色から透明に近くなるので、黒っぽく写ります。MRI画像では白く写ります。

 

2.分離期

透亮期から進行すると、関節軟骨下の骨の壊死した部分とその下の骨との間に亀裂が入り、軟骨面にやや分離している部位がみられ始めます。この時期は分離期の前期です。亀裂が生じ、さらに進行すると、壊死した部分がその下の骨から完全に分離します。この時期は分離後期と呼ばれます。画像所見では、壊死した部分とその下の骨との間に線が入り、壊死した部分が離れているのがわかります。

3.遊離期

分離期から、さらに進行すると、壊死した軟骨下骨のかけらは、動いて元の位置から遠ざかり、関節内で浮遊している状態となります。この時期は遊離期と呼ばれます。

 

初期の透亮期、分離前期までは、安静によって、自然な骨癒合が望める時期です。分離後期、遊離期では、骨癒合を促すための手術が必要となります

肘関節の離断性骨軟骨炎

肘関節の離断性骨軟骨炎は、野球肘とも呼ばれ、野球をしている10~14歳の少年に多くみられる障害です。野球のボールを投げる投球動作を繰り返すことでのストレスによって生じます。とくに、ピッチャーやキャッチャー経験の有る中高生にみられます。

 

野球の他にも、ソフトボール、ハンドボール、やり投げ、体操競技などの、繰り返し、肘関節へ大きな負荷がかかるスポーツでもみられます。

膝の離断性骨軟骨炎

膝関節の離断性骨軟骨炎のほとんどのケースは、大腿骨内側顆にみられます。膝関節を内側に捻る動作を繰り返すことで、大腿骨内側顆への負荷が増して生じると考えられます。膝を捻りながらボールを蹴る動作を行うサッカーや、ターンやステップ時に膝関節を捻ることの多い、バスケットボールやテニス、スイング時に膝関節の捻りをともなう、野球やゴルフなども離断性骨軟骨炎がみられやすいスポーツです。

 

小中高生のスポーツをしている子どもや20代にみられます。男女差では男性に多くみられます。半月板が円板状の形をしている円板状半月板が伴う場合も多くみられます。

足首の離断性骨軟骨炎(距骨離断性骨軟骨炎)

足関節の骨である距骨の脛骨面にみられます。距骨は踵の骨の上、脛骨の下に位置する骨です。足首をうち返しに捻った時に、距骨の内側と、脛骨の下側部分が接触して、距骨の軟骨に損傷が起こります。足首をうち返しに捻ることを何度も繰り返すうちに、距骨の軟骨の下の骨が壊死を起こしはじめ、やがては壊死した部分が剥がれてしまい、剥がれた骨は関節内で浮遊します。浮遊した骨が足関節に挟まると、激痛とともに、足首が動かすことができなくなります。

 

うち返しに足を捻ることは、走ることや、ジャンプすることの多いスポーツでよくみられます。サッカー、バレーボール、ラグビー、アメリカンフットボール、バスケットボール、テニス、陸上競技、ハンドボールなどがあげられます。

離断性骨軟骨炎の検査

離断性骨軟骨炎で行う検査を詳しくみていきましょう。主にX線(レントゲン)やMRIでの画像検査、関節鏡での確認などが行われます。

X線(レントゲン)検査

骨の変化をみることができますが、初期の軟骨や軟骨の下の骨の血流が悪くなって損傷が起き始めた時期では、X線検査では損傷部位が写りにくいため、特殊な方向からの撮影を行います。

 

肘関節の離断性骨軟骨炎が疑われる場合は、肘関節の外側の上腕骨小頭に離断性骨軟骨炎が起こりやすいことから、座った姿勢で手のひらを上にし、X線の受像面に前腕上面をつけて、肘関節を45度屈曲した状態で撮影します。この撮影方法では、肘関節を伸ばして正面から撮る方法では、写りにくい症状を確認することができます。

MRI画像検査、CT画像検査

MRIやCTでは、より離断性骨軟骨炎の状態を詳しく調べることができます。壊死した軟骨及び、軟骨下骨がどの進行過程であるのか、どれくらいの大きさであるのか、分離しているのか、または、遊離しているのかの確認に有効です。確定診断にはMRI画像検査が優れており、今後の治療方針の決定にも役立ちます。画像検査は、治療の際にも、軟骨の回復状態を確認するために用いられます。

関節鏡視下での検査

MRI画像検査で手術が必要と判断された際には、関節に小さな穴をいくつか開けて器具やカメラを関節内に挿入して手術を行う関節鏡視下手術が行われます。関節鏡視下で実際に関節の中を確認し、軟骨の状態をみます。画像検査ではわからなかった状態が確認できることもあります。

整形外科での治療

離断性骨軟骨炎の治療は、進行の程度や年齢、生活スタイルによって異なります。離断性骨軟骨炎の整形外科での治療について詳しくみていきましょう。

 

離断性骨軟骨炎の治療には、手術を行わず、患部を安静に保つ保存療法と、手術を行う手術療法とがあります。透亮期~分離前期の壊死した部分が分離する前の段階であると、自然治癒が望めますが、年齢が高くなるほど、軟骨の自然治癒は期待できにくくなります。子供で、壊死した部分の軟骨が分離する前の段階であれば、安静や負荷をかけないようにすることで自然治癒が期待できますが、成人では、手術療法が選択されることが多くなります。

保存療法

・安静と免荷

保存療法では、基本安静と、関節への負担をかけないようにすることが行われます。原因と考えられるスポーツは中断し、関節への負担を軽減させるために、肘関節の場合は、投球動作の中止、膝関節、足関節、股関節の場合は、患部側の足へ体重をかけないように松葉杖での歩行などが行われます。

 

日常生活での安静や活動の中止は、主治医の指示をしっかりと守ることが重要となります。1~2カ月安静にすると患部の痛みが少し軽減しますが、早くても3カ月以上の安静は必要とされることが多く、痛みが軽減したからといって、自己判断で患部への負荷がかかるような活動を再開すると、離断性骨軟骨炎が進行し、軟骨片の分離が起こります。

 

軟骨片の分離、遊離が起こると、痛みのためにスポーツの継続は困難となり、手術が必要となります。また、軟骨片が分離、遊離した関節面は、軟骨の一部が欠けた状態となるので、痛みだけでなく、関節の変形や関節可動域制限につながり、日常生活にも支障をきたすこととなります。

 

保存療法では、子どもの周囲の保護者やスポーツチームの指導者までも、医師の指示に従って徐々に活動の再開、スポーツ復帰を行う必要があります。スポーツ復帰に際して、いきなり通常のメニューに戻るのではなく、同じ障害を繰り返さないように、体幹筋や下肢筋の筋力強化や股関節や体幹の柔軟性の獲得、関節への負担をかけない体の使い方などの習得を図り、メニューの量や内容を調整する必要があります。

 

リハビリテーション

患部に負荷がかからないように、体幹や股関節のストレッチや関節可動域訓練、筋力強化訓練を行い、患部への負荷を軽減させるような姿勢のとり方や動作方法を身につける指導が行われます。関節への負担を軽減する姿勢や動作の獲得は、軟骨の自然治癒を促すことにも、再発を予防することにもつながります。

手術療法

手術療法は、壊死している軟骨部分とその下の軟骨に穴を開けて、出血させることによって回復を促すドリリング(骨穿孔術)、壊死して分離、または遊離している軟骨片を元の位置に戻す固定術、遊離している軟骨片をとり除く摘出術、自分の身体から軟骨片を取り出して軟骨が剥がれた部分に移植するモザイク手術、自分の軟骨の組織を取り出して培養し、軟骨が剥がれた場所に移植する自家培養軟骨細胞移植術があります。

 

それぞれの手術は、軟骨損傷の程度や範囲、軟骨片や関節面の状態、年齢、生活背景などから総合的に判断して、適応が検討されます。

離断性骨軟骨炎が手術になる判断基準とは?

離断性骨軟骨炎は、初期の状態では保存療法で経過をみる場合もありますが、保存療法で回復状態が悪い場合や、障害の程度が進行している場合は、手術適応となる場合もあります。手術方法によって、手術が判断される時期や条件をみていきましょう。

 

手術適応となる場合

・壊死した軟骨片が母床の軟骨から離れている分離期以降

・保存療法で経過をみても回復状態が悪い場合

・スポーツ選手などで、早い競技復帰を望む場合

 

手術方法ごとの適応とは

離断性骨軟骨炎の手術方法には以下のような方法があります。

・ドリリング(骨穿孔術)

壊死した軟骨片部分と母床の軟骨との間に亀裂が入り始めた分離前期では、軟骨片から母体の軟骨までドリルで穴を開けて出血を起こし、治癒を促す手術が行われることがあります。自然治癒で経過をみていても軟骨の癒合に時間がかかる場合や、スポーツ選手などで早く競技復帰が必要な場合などにも実施されます。

 

・骨軟骨片固定術

壊死した軟骨片が分離、遊離している場合は、剥離している軟骨片と母体の軟骨に穴を開け、自分の軟骨から作り出した釘の代わりとなる軟骨片や、溶ける樹脂製の釘を用いて、分離した軟骨片と母床の軟骨とを固定する手術が行われることがあります。分離、遊離している軟骨片と、関節面の状態が良いことが条件となります。

 

・摘出術

遊離している軟骨片をとり除く手術です。遊離している軟骨片や関節面の損傷が小さい時には、元に戻さずに、遊離している軟骨片を取り除くだけのこともあります。

 

・モザイクプラスティー(骨軟骨複合遊離移植)

遊離している軟骨片と関節面との状態が悪く、固定しても骨癒合が望めそうにない場合には、自分の膝関節の軟骨などから円柱状の軟骨片を取り出して、患部にモザイク様に移植する手術が行われます。

 

・自家培養軟骨による治療(自家培養軟骨細胞移植術)

遊離している軟骨片の損傷が激しい場合や、関節面の変形が進んでおり、軟骨片を関節面へ固定できない場合は、自分の肋軟骨などから軟骨組織を取り出して、軟骨細胞を増やすように培養し、患部に移植する手術です。

 

離断性骨軟骨炎で広い範囲にわたって軟骨の損傷が認められる場合には、自家培養軟骨細胞移植術が保険適用となる場合があります。移植術においては、実施している医療機関が限られるため、専門の病院でしか手術を受けることができません。

整形外科で治療を行った際の復帰期間

離断性骨軟骨炎は、関節部に繰り返し負担がかかることで、軟骨の一部が壊死し、剥がれ落ちていく障害です。その改善は、障害の進行程度や年齢、手術後の経過に左右されます。

治療方法、障害の進行度による復帰までの期間

離断性骨軟骨炎の状態が初期の透亮期であり、安静によって自然治癒が望める場合は、保存療法で3~6カ月でスポーツ復帰できることが多いです。ですが、保存療法で経過をみていても軟骨の癒合が思わしくない場合は、手術療法に切り替える場合もあります。

 

手術を行ってから軟骨が癒合するまでに、ドリリングの場合は3~4カ月、摘出術の場合は3カ月程度、固定術や骨軟骨移植術では4~5カ月要し、スポーツ復帰までには6カ月~1年程度かかります。自家培養軟骨細胞移植術では、治癒までに1年以上かかります。

 

手術をせずに保存療法で骨癒合がスムーズに進めば良いですが、関節の安静や免荷の期間が長くなることで、関節機能が低下し、関節可動域制限や筋力低下などの問題も生じてくるので、回復状態が悪い場合は、保存療法から手術療法へと切り替える見極めの時期が大切となります。また、手術療法も、どの手術法を選択するかということの適切な選択も必要となります。

 

自分の肋軟骨から固定用の釘をつくる場合や、膝などから骨軟骨片を移植する場合、自家培養軟骨による治療の場合は、一度、自分の身体から軟骨を取り出す手術が必要となるため、手術時の身体への負担も大きくなり、治癒にも時間を要します。

 

軟骨の障害の状態にもよりますが、スポーツ復帰までに希望する期間も治療法を選択するときの判断材料となります。

術後の経過による復帰までの期間

手術後の回復程度によっても競技復帰までの期間は変わります。手術の後は、関節に体重をかけないように安静を保つことが大切ですが、その他の部分は動かして、関節可動域を保ち、筋力を維持して関節の機能低下を防ぐことも、回復を促すために必要となります。手術後のリハビリの進み具合によっても競技復帰までの期間は変わってくるといえるでしょう

当院での治療

離断性骨軟骨炎は当院が最も得意とする疾患の一つです。当院には特に膝の離断性骨軟骨炎を患った小学生の子どもが来院します。数か月スポーツを中止するように言われた子や、もう競技を続けることを諦めるように言われた子などが早期に競技復帰しています。離断性骨軟骨炎は骨が欠けてしまうことが根本原因ではなく、骨が欠けてしまうような動きになってしまっていることが原因です。そこを調整すれば痛みなく、再発なく競技を続けることが可能です。

①体の連動性を取り戻す。

例えば膝関節の場合、なぜ軟骨、骨に負担がかかり骨が欠けてしまうんかというと一般的には激しい運動を繰り返すことが原因と言われています。しかし、そこまで激しく運動をしていない子がなる場合もあります。一方で凄く激しく運動をしているのに離断性骨軟骨炎にならない子もたくさんいます。

それは何の違いなのか?

その一つが「体の連動性」です。体の連動性とは一つの動きに対してどれだけ多くの筋肉、関節を使って動けているかということです。

例えばボールを蹴るという動きで考えます。体の連動性のとれている体は両下半身の筋肉、骨盤、脊柱起立筋、上半身の筋肉とすべての筋肉が「蹴る」動作に対して働きます。そのため、一つに筋肉や関節にかかる負担は少ないです。この状態で運動をしていてもあまり怪我もせずにプレーをすることができます。

一方、連動性のとれていない体は蹴る動きの時に、あまり下半身の筋肉は使えているのですが、骨盤、脊柱起立筋、上半身の動きがあまりよくないため、体全体を使えず下半身を中心に蹴ることになります。

この場合、体全体を使って蹴っている子に比べて下半身にかかる負荷は増すため膝や足首などを痛めやすくなってしまいます。

離断性骨軟骨炎を患う子は体の連動性が欠けて、特に膝内側に負担がかかる動きになってしまっていることが多いです。膝の内側に負担のかかる動きになってしまっているため、運動をするたびに関節内で骨同士がぶつかり合うようになり軟骨が欠け、離断性骨軟骨炎を引き起こします。

当院では鍼治療と整体法を用いて、本来持っていた体の連動性を取り戻します。膝の痛い部分に鍼を打つのではなく、膝から離れたツボを使用していきます。そうすることで本来持っていた体の連動性のとれた動きにかわってきます。体の連動性が戻ると屈伸などの際にも今までの動きと変わってくるのでその場で屈伸時の痛みの変化を感じられる子もいます。

 

②骨盤から下肢にかけてのゆがみを矯正する

スマートフォンやタブレット、ポータブルゲームの普及により現代の子どもたちは下向き姿勢をとることが多く、猫背になってしまっている子がとても多く見受けられます。猫背になることで骨盤は後傾し、骨盤の後傾によって太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)が捻じれる形になります。

膝関節がねじれている状態です。この状態だと膝関節の間が狭まり、太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)同士がぶつかり合うようになります。この状態で運動を続けているとやがて離断性骨軟骨炎になってしまいます。

また、過去に捻挫(ねんざ)の既往がある場合も膝関節でねじれを起こす原因となります。数年前の捻挫(ねんざ)が原因で離断性骨軟骨炎になることもあります。その捻挫も得に数週間休むような重度の捻挫ではなく足首を捻ったくらいの捻挫が原因になることもあります。

足首捻挫をすると外くるぶしを形成する腓骨(ひこつ)という骨が下にズレてきます。腓骨がズレた状態で運動を続けているとくるぶしから下の骨である足根骨にもゆがみが波及しやがてスネの骨(けいこつ)も外側へ捻じれてきます。結果膝関節にもねじれが生じ、関節が狭まってしまい離断性骨軟骨炎を引き起こします。

関節間の狭まりの原因となってしまっている膝関節の捻じれ、骨盤の後傾、足根骨のゆがみの矯正など必要に応じて整体をおこなっていきます。当院の整体法はとてもソフトな整体法で「バキッ」と音のなるような整体法はおこなっておりません。受けていても痛みは全く感じませんのでご安心ください。

 

離断性骨軟骨炎と診断され、長期的に練習をすることを諦める子や競技を続けることを諦めてしまう子がいらっしゃいます。離断性骨軟骨炎は諦める前にしっかりと治療をすることで競技への早期復帰が望めます。現在、離断性骨軟骨炎でお悩みの子はぜひ当院の治療を受けにいらしてください。

 

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